天才外科医と身ごもり盲愛婚~愛し子ごとこの手で抱きたい~
「先生、息子は……?」
「手術は成功しました。一~二カ月もすれば、日常生活に戻れるでしょう」
「よかった……ありがとうございます」
母親と女性は抱き合いながら、男性の無事を喜び涙を流した。外科医になってよかったと、心から思える瞬間である。毎日どんなにハードワークでも、この時ばかりは心と体がスッと軽くなる。
それから、母親に詳しい手術経過や今後の予定などを説明した後、医局で軽くサンドイッチをつまんで、午後にもう一件オペを執刀した。
そちらも問題なく終えると、すぐに自分の担当患者の回診をする。スコットさんも、未だICUで人工呼吸器の管理下ではあるが、血圧や心電図に問題はなく、容体は安定していた。
これから片づけなくてはならない書類仕事も山ほどあるが、ふと新鮮な外の空気が吸いたくなり、一階のテラスに出た。空はすでに真っ暗だったが、周囲に植えられている木々にはイルミネーションが点灯し、テラスを明るく照らしている。
「もうすぐクリスマスだもんな……」
思わず日本語でひとりごち、時の流れの早さになんとなくため息がこぼれる。
クリスマスイブは、確か絢美の誕生日だったよな……なんて。カレンダーに記しているわけでもないのに覚えている自分の未練がましさに辟易する。