天才外科医と身ごもり盲愛婚~愛し子ごとこの手で抱きたい~

 そう自分に問いかけると、まるでそれに答えるように、スコットさんの声が頭の中で再生された。

『だから、彼女に想いを伝えないままでは、死んでも死にきれない。先生、僕、早く彼女にもう一度気持ちを伝えられるよう、リハビリ頑張ります』

 もしも俺がスコットさんのように、命にかかわる発作に突然襲われ生死をさまようことになったとしたら……思い浮かべるのは、きっと絢美の顔だ。

 もっと優しくしておけばよかった。高校生の彼女から、バレンタインのチョコレートを受け取ればよかった。キスした理由を伝えればよかった。日本を発つ前、顔を見てきちんと別れを告げればよかった。

 そんな、たらればばかりの人生だったなって。

 しかし、本当にそれでいいのか? 今ならまだやり直しが利くんじゃないのか?

 絢美はまだ、聡悟のプロポーズに応えていない。そこにほんの少しでも心の隙があるのなら――。

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