天才外科医と身ごもり盲愛婚~愛し子ごとこの手で抱きたい~

 駅を出て数分も歩けば、目的地に到着した。一番に目を引くのは、巨大観覧車。勇悟が考えてくれたデートプランの始めは、私たちが初対面を果たした思い出の遊園地で思い切り遊ぶことなのだ。

 クリスマスイブとあって、入園口を目指しているのは私たち以外にも大勢いる。園内は混雑していそうだけれど、賑やかそうでむしろワクワクする。

「相変わらず大きいね……」

 歩きながら空に届きそうな観覧車を眺め、思わず呟く。

「お前、まだ観覧車怖いのか?」
「どうだろう。大人になってからは来てないからなぁ」

 さりげなくそう答えながらも、私が観覧車が苦手であったことを覚えていた勇悟に感動していた。

 あの時、手をつないで私を励ましてくれたことも覚えているのかな。だとしたら、うれしいんだけどな……。

 私は胸の内でひとりごちると、今もポケットの中で繋がる彼の手の感触や温度を、改めて噛みしめた。


 入園してマップを眺め、手始めに私たちが並んだアトラクションは、水しぶきの上がる絶叫系のジェットコースター。

 アトラクションの説明には、絶叫度【二】と書いてあり、それほど怖い乗り物ではないようだけれど……。

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