天才外科医と身ごもり盲愛婚~愛し子ごとこの手で抱きたい~
「ね、ねえ。これ、本当に子どもも乗れるやつ?」
「ああ。身長百二十センチ以上あれば乗れる。絢美なら余裕だろ」
「そりゃ、身長はそうだけど……」
勇悟とふたり並んでコースターの先頭に乗り込むと、今さらのように恐怖心が芽生える。
待ち時間の間に見ていたら意外とスピードが出ていたし、到着した瞬間に『怖かったよぉ~』と泣き出す小学生くらいの子どももいた。
緊張しながら膝の上に下ろしたをバーを握りしめていると、勇悟がなぜかクスクス笑いだす。
「な、なによ」
「うん? アトラクションより、絢美見てる方がおもしろいなって」
「なにそれ、ひど――」
勇悟に言い返した瞬間、ガタンとコースターが動き出す。途端に声が喉の奥にひゅっと引っ込み、泣きそうな顔で前方をにらみバーを握り直す。
そして坂をカタカタと上る途中、もう観念するしかないと、勇悟に訴えた。
「これ、泣かずに乗り終えたらなんかご褒美ね!」
「はいはい」
勇悟が気のない返事をした直後、ふっと内臓が宙に浮く感覚がして、コースターは下り坂を一気に下りた。
最も下に到達した瞬間に水しぶきが上がり、乗客は濡れない構造らしいが、視界が遮られて恐怖心が増す。コースターはスピードを維持したままくねくねとしたレール上を走り、数分の間乗客たちを振り回す。