天才外科医と身ごもり盲愛婚~愛し子ごとこの手で抱きたい~

「聡悟くん、こちら、上司の柿田さんと、後輩の桃瀬さん」
「そうでしたか、佳味百花の……。絢美がいつもお世話になっております」
「いえいえ。絢美ちゃん、とっても頑張り屋さんなので、来年度からは商品部に異動になるんですよ。バイヤーになる夢、ようやく叶いそうなんです」
「ええ、彼女に聞いています。……昔から、彼女のそういう面には僕も見習うことが多くて」

 聡悟くんになりきり、にこやかに相槌を打つ勇悟。しかし、ほんの隙を見て私の耳元に顔を近づけると、「知らなかった。すごいじゃん」と素の勇悟になって感想をくれた。

「じゃあ、僕たちはそろそろ」

 ひと通りお互いの挨拶が済んだところで勇悟がそう切り出すと、柿田さんが急に顔をゆがめて、その場にうずくまった。

「ごめんなさい、急にめまいが……」
「大丈夫ですか? どこかで休みましょう。ベンチは……」

 即座に勇悟が反応し、彼女のそばに屈みこみ、周囲に座れる場所を探す。

 その間、柿田さんは弱々しい眼差しで桃瀬さんを見上げ、「お水を買ってきてもらえるかしら……」と彼女に頼む。

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