天才外科医と身ごもり盲愛婚~愛し子ごとこの手で抱きたい~

 そばまでやってきた桃瀬さんは、乱れていた呼吸を整えてから話しだす。

「こないだ、柿田さんと三人で飲んだ時に言ってましたよね。絢美さんにプロポーズした聡悟さんの双子の弟さんが、突然帰国して絢美さんに迫ってきたって」
「う、うん」

 自動販売機の前で、私は戸惑いながら桃瀬さんの言葉を聞く。

 その話をした時、彼女たちはふたりとも『モテモテで羨ましい~!』なんて私を茶化していたのに、今目の前にいる桃瀬さんはなぜか深刻な様子だ。

「あの時は、ずっと弟さんに片想いしていた絢美さんを傷つけてしまうかもと思って言えなかったんですけど……実は私も柿田さんも、弟さんの言動が心からのものだとは思えないんです。だから、もし絢美さんが弟さんの方を自分の伴侶に選ぶんだとしたら、不幸せな結婚生活を送ることになるんじゃないかと心配で」
「待って。どうして弟の方……勇悟と結婚したら、不幸せなの?」

 桃瀬さんの言葉は、私を気遣ってか所々ぼかしてあるようなので、話がよく見えない。

 勇悟の言動が本心じゃないとしたら、帰国した本当の理由はなんなの?

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