天才外科医と身ごもり盲愛婚~愛し子ごとこの手で抱きたい~
「ううん、なんでもない。桃瀬さんたちも、遊園地満喫してね」
「はい」
表面上は和やかなムードに戻りつつも、私の心はぐちゃぐちゃのままだった。
外のベンチで待っていたふたりの元に戻り、柿田さんに一応水を渡すと、彼女はすっかり元気になったと言って私と勇悟に頭を下げた。
そして彼女と桃瀬さんが連れ立ってこの場を離れていくと、私と勇悟の間に妙な沈黙が落ちる。
勇悟までなんで黙るんだろう。
無言のままどちらからともなく歩きだしたが、勇悟はさっきまでのように手を繋ごうとしない。もちろん、私からも。
「あのさ、絢美」
気まずい雰囲気の中、どこに向かうんだろうと思いながら歩いていると、勇悟がようやく口を開く。
「今日……何時まで一緒にいられる?」
どことなく、頼りない声音だった。
なんで急にそんなことを聞くんだろう。まるで、私の心に迷いが生じているのを見透かしているみたい。
胸のざわめきを感じつつも、とりあえず勇悟から事前に聞かされていた通りのプランを答える。