天才外科医と身ごもり盲愛婚~愛し子ごとこの手で抱きたい~

「もう少し遊園地を回ったら、駅の方に戻ってショッピングして、勇悟が予約してくれたレストランで夜ご飯食べるでしょ? お酒を飲みながらゆっくり食べたとしたら……帰るのは十時頃とかかな。でも、どうして?」

 勇悟は数日前から貴船総合病院に勤務し始めているが、帰国したばかりで時差ボケもあるので、年内は基本的に土日休みにしてもらっているそう。だから、仕事が理由で聞いているわけではなさそうだけれど。

「……泊まり、は無理?」
「えっ?」

 思いがけない言葉が聞こえて、私は足を止めて勇悟の顔を見上げる。

 勇悟は真剣な目で私を見下ろし、私の手を取って握った。冷え切っていた指先が、勇悟の温かく大きな手に包まれ、じわじわと熱を取り戻していく。

「できるだけ長い時間、絢美を独占していたいんだ。ダメか?」

 ダメなんかじゃない。桃瀬さんと話す前の私だったら、即答していただろう。

 でも、彼の甘い態度や台詞に裏があると知ってしまった今は……どうしたらいいのかわからない。

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