天才外科医と身ごもり盲愛婚~愛し子ごとこの手で抱きたい~
翌日、勇悟のマンションから自宅に帰ってすぐ、私は聡悟くんに電話して、昨夜電話に出られなかったことを謝った。
彼はまったく怒っていなかったけれど、『明日の夜は空いている? 遅れてしまったけど絢美の誕生祝いに食事をしよう』と誘われ、承諾した。
誕生祝いをしてほしかったわけじゃなく、プロポーズを断るためだ。
勇悟への気持ちをハッキリ自覚し、体まで重ねた後だったから、聡悟くんを中途半端に待たせるより、断るなら早い方がいいと思った。
そして月曜日、私は会社帰りに指定されたダイニングバーに足を運んだ。
ダイニングバーの店内は隠れ家のようにひっそりと暗くて、なんとなく誕生祝いという雰囲気じゃないなと思いながらも、聡悟くんと並んでカウンターに座る。
注文したカクテルがカウンターに届くと、聡悟くんは時折グラスに口をつけつつ、静かなトーンで話しだした。
「昨日は勇悟の家から朝帰りしたそうだね。絢美がそんなに大胆なことをするとは意外だったよ」
ああ、さっそくうちの親が貴船家にもその話を漏らしたのだなと、私は恥ずかしくなった。
けれど、話の流れ的に、プロポーズを断るのにちょうどいい。聡悟くんに申し訳ないと思いつつも、覚悟を決めて口を開く。