天才外科医と身ごもり盲愛婚~愛し子ごとこの手で抱きたい~

「……はあ。しかし、それは患者さんには関係ないので慣れていただかないと」
「わかっています。ですから先生、今度個人的に会っていただけませんか? 海外でご活躍されていたお話とか、ゆっくりお聞きしたいんです」

 どうしてそんな話に……。

 げんなりしていると、望月さんはダメ押しのように俺の腕を掴み、ギュッと身を寄せてくる。わざと胸のふくらみを押し当て、上目づかいで俺を見上げる。

 今度こそ、本当に鳥肌が立った。どうにかしてこの場を切り抜けなければ。

「ダメですか……?」
「生憎、女性には困っていませんので。それと海外での話なら、いつだったか日本の雑誌のインタビューに答えてますから、それを探して参考にしてください」

 淡々と告げて、彼女の腕をやんわり解く。

 望月さんは不満げに口をとがらせていたが、俺の答えが不満というより、おそらくその顔を自分で魅力的だと思ってやっているのだろう。

 未だ止まらない寒気に白衣の上から腕をさすりつつ、俺は医局へ戻ったのだった。

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