Tear Flowes〜絶望の向こう岸〜
「最後まで人の話は聞けって親から教わらなかったか?」

冷たく、見下すような声が響く。フィオナはマーティーを睨み付けながら立ち上がる。いつでも攻撃できるよう、戦闘態勢に入ったままだが……。

「何の話だったか?ああ、お前の家族と上司を殺した理由か?お前の親も上司も邪魔だったんだ。俺の尻尾をもう少しで掴まれるところだったから、お前の家の車をいじってブレーキを効かないようにして家族を殺した。まあ、お前の弟や妹まで死ぬことになったのは予想外だったけどな。シオンは久々に狙撃したな。ライフルを持つ手が興奮で震えたけど、うまく殺せてよかったぞ」

人を傷付けたこと、関係のない人まで殺してしまったことに関して、マーティーは笑って言う。こんなクズに簡単に命を奪われたことに、フィオナはやるせなさを感じる。

「……罪悪感はないのか?」

「ないな」

完全にフィオナの中でストッパーは外された。マーティーを睨み付け、闘牛のように荒い息を吐く。
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