無自覚な恋人。〜俺しか見ないで、センパイ〜
「……よかった、まだいた……」
「和泉くん?」
俺が突然来て驚いたのか、静香先輩は驚いた表情。
「部活ちょっと早く終わったんです。リナ先輩から静香先輩が図書委員で残ってるって聞いて、一緒に帰れたらって……」
そこまで言って、俺はハッとした。
……なんか、気持ち悪くないか……?
友達から聞いて来たとか、帰る約束もしてないのに押しかけたり……
引かれたらどうしようと、焦りが生まれる。
「なんか俺、必死ですよね……。急に来てすみません……」
こんな息切れるほど走って来て、かっこ悪……。
恥ずかしくて視線を下げた俺に、
「わ、私も、一緒に帰りたいです……!」
静香先輩の、嬉しそうな声が届いた。
この人は、いっつも……俺の不安をかき消してくれる。
こんなふうに、嬉しそうにしてくれるとは思わなかった。