無自覚な恋人。〜俺しか見ないで、センパイ〜


……走ってきてよかった。



「ありがとうございます。……じゃあ、帰りましょう。もう終わりですか?」

「は、はいっ……すぐ終わります!」



静香先輩は終始嬉しそうに、急いで後片付けをしていた。

そんな姿を見ながら、俺も自然と笑みが溢れていた。





* * * *



静香先輩と並んで、帰り道を歩く。

家まで送らせてくださいと頼むと、申し訳ないからと一度断られたけど、「できるだけ長く一緒にいたい」と伝えると、控えめに頷いてくれた。


最終下校時刻から少し過ぎていて、周りに生徒はほとんどいない。

サッカー部のやつらはいつも終わったら速攻着替えて帰るか遊びに行ってるし、他の部活動の生徒も帰ってしまったんだろう。

今は邪魔者も、俺たちを見ているやつもいない。


俺は恐る恐る、静香先輩の手に自分の手を重ねた。


びくっと、小さな手が反応する。

嫌がられたかと不安になり静香先輩のほうを見ると、目を見開き顔を赤く染めていた。

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