俺様御曹司は無垢な彼女を愛し尽くしたい

だがお正月明けのことだった。
少量の出血があり奈々は一気に青ざめた。

生理にしては少ない。
まさか不正出血?

奈々の脳裏によみがえる流産の記憶。
あの時を思い出して胸が潰れそうになる。

だが今回は妊娠はしていない。
だとすると体の調子が悪い?
ホルモンバランスが崩れている?
こんなことじゃ妊娠も望めないのでは?

悪いことばかりが思い浮かぶ。
くしくも今日は流産した日と同じ日だった。
小刻みに手が震えてしまう。

「奈々どうした?」

奈々の様子に気付いた祐吾が訝しげに尋ねるが、奈々は震える手をぎゅっと握って心を落ち着かせる。

「あ、うん、何か生理がきた……かも」

「顔色悪いけど大丈夫か?今日は休んだ方がいいんじゃないか?」

「でも……」

祐吾は奈々の手を取りゆっくりとソファーへ座らせた。奈々の頬を両手で包み、心配そうに覗き込む。

「奈々はいつも頑張りすぎ。時々心配になる。今日は休め。これは命令だ」

命令なのに優しい。
祐吾に気遣ってもらえるだけでとたんに安心感に包まれ、奈々は気を緩めた。
そうすると、何かしら頭がふわふわしている気がしてくる。出血はごく少量なのに、貧血にでもなっているのだろうか。

奈々は生理のときよく貧血気味になる。ということはやはり今回の出血も生理かもしれない。

「俺も休もうか?」

奈々が考え込んで俯いているので、祐吾はなおさら心配になる。

「何言ってるの、私は大丈夫だから。今日も会議があるんでしょう?」

副社長になった祐吾を自分の貧血ごときで休ませるわけにはいかない。その気持ちだけありがたくいただくことにする。

奈々は頭を切り替え、努めて明るく祐吾の背を押して送り出した。
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