俺様御曹司は無垢な彼女を愛し尽くしたい

だが一人になると、とたんに思考は出血のことでいっぱいになる。病院に行った方がいいだろうか。

だれかに相談したく、奈々は朋子に電話をかけた。朋子は六月に出産し今は育休中だ。

「ごめん朋ちゃん、今いい?」

「どうしたの?今日休み?」

朋子の子供はもう7ヶ月だ。
電話の向こうで赤ちゃんの泣き声が聞こえてくる。

「ごめん朋子ちゃん、忙しいよね?」

「いいって、いいって」

「でも泣いてるよ……?」

「んー、じゃあ授乳してから掛け直すから、ちょっと待ってて」

「うん」

電話が切れた後、奈々の頭の中は先程聞こえた赤ちゃんの泣き声でいっぱいになった。
自分も赤ちゃんがほしい。
こんなに頑張っているのになぜきてくれないのか。
朋子が羨ましくて仕方ない。

そこまで考えて奈々は頭を振る。
このままの思考でいくと、そのうち妬みや僻みに変わってしまいそうだ。
自分の事情を他人にぶつけるなんて絶対よくない。

自分の心の葛藤は朋子から再び電話がかかってくるまで続いた。
< 110 / 112 >

この作品をシェア

pagetop