初老アイドルが一般人女子との恋を成就させるまで
翌日の放課後、茜が久しぶりに部活に顔を出すと、部活終了後に部長のよっちゃんがパタパタと近づいてきた。
「先生、昨日の『Utaoh!!』見た?」
「うん、昨日は早く帰れたから見れたよ」
「一仁くん、めっちゃかっこよかった!」
昨年の夏にスパノヴァがロケに来て以降、よっちゃんはすっかりスパノヴァのファン、そして一仁のファンになっていた。
面白いぐらいにハマって詳しくなっていく様子は、傍から見ていて茜はとても面白かった。
よっちゃんは、一仁のここがカッコよかった、可愛かったという話を嬉しそうに茜に話す。
と、照明担当でよっちゃんの同期のまーが、徐によっちゃんと茜に近づく。
「あんた、一仁くん結婚したらヤバそうだよね」
まーの言葉に、茜は内心ドキッとして、心臓が早く打ち始める。
これまでは勿論、そんなことはなかった。
しかし今や、茜はこの手の話題にかかわる立場なのだ。
加えて、昨日の「Utaoh!!」でその手の話題が出たこともあり、茜の内心は穏やかではない。
そんなことは当然知らないよっちゃんとまーは、会話を続けていく。
「まー、それを今言わないでよ…。でも、一仁くん言ってた。『僕の恋人はファンのみんなだよ』って」
「え、よっちゃん、それ信じてるの?」
「なわけ。でも、デビューしてから一回も熱愛報道出てないから」
「それすごいよね。うちのお姉ちゃんが琉星君のファンだけど、『アイツすぐ撮られる!』って2年に1回は激怒してる」
「ああー……」
「暁くんはもう出ないし、リーダーもあんまないよね、熱愛報道」
“リーダー”、“熱愛報道”。
この二つの単語に、一層茜の心臓は強く鼓動する。
だけど、そんな様子を表に出すことなく、ただ茜は変に高まる緊張を抑えることに集中する。
「うん、ここ最近ない。前に出たのが、うちらが中学の時だから……、4~5年前?くらい」
「あ、思い出した。モデルのRisaとだ」
「そうそう。でも、もう別れたよね。それにRisa、他の人と結婚したし」
「ま、老後は一仁君が面倒見てくれるらしいしね」
「昨日のそれ、ほんとヤバい」
その後、よっちゃんとまーの会話はスパノヴァから離れ、別の話題へと移っていった。
話題が移ったことを認識した茜は、やっと変な緊張から解放された。
しかし、代わりに茜の中に生じたのは、ざわざわとした心地良くない感情だった。
その感情の出どころは分かっている。
よっちゃんとまーが言っていた、航太の元カノの話だ。
茜も普通に芸能ニュースを見るので、2人が言っていたRisaのことは知っていた。
人気ファッション誌の専属モデルを経て、今はある高級ブランドのミューズ的な立場として活躍している。
そのライフスタイルも女性から絶大な支持を受け、そのSNSは多くのフォロワーがおり、茜も見たことがある。
そんな人と曲がりなりにも同じ立場に、今自分はいる。
比べてもしょうがないことは分かっている。
だけど、自分で本当にいいのだろうかという不安が付きまとって消えないし、気持ちはやはり、自然と落ち込んでいく。
図らずとも、昨日調べないでおこうと決めた事実を知ってしまったが、よっちゃんとまーが悪いわけではない。
彼女たちは、茜の事情などこれっぽっちも知らないのだから。
「先生、昨日の『Utaoh!!』見た?」
「うん、昨日は早く帰れたから見れたよ」
「一仁くん、めっちゃかっこよかった!」
昨年の夏にスパノヴァがロケに来て以降、よっちゃんはすっかりスパノヴァのファン、そして一仁のファンになっていた。
面白いぐらいにハマって詳しくなっていく様子は、傍から見ていて茜はとても面白かった。
よっちゃんは、一仁のここがカッコよかった、可愛かったという話を嬉しそうに茜に話す。
と、照明担当でよっちゃんの同期のまーが、徐によっちゃんと茜に近づく。
「あんた、一仁くん結婚したらヤバそうだよね」
まーの言葉に、茜は内心ドキッとして、心臓が早く打ち始める。
これまでは勿論、そんなことはなかった。
しかし今や、茜はこの手の話題にかかわる立場なのだ。
加えて、昨日の「Utaoh!!」でその手の話題が出たこともあり、茜の内心は穏やかではない。
そんなことは当然知らないよっちゃんとまーは、会話を続けていく。
「まー、それを今言わないでよ…。でも、一仁くん言ってた。『僕の恋人はファンのみんなだよ』って」
「え、よっちゃん、それ信じてるの?」
「なわけ。でも、デビューしてから一回も熱愛報道出てないから」
「それすごいよね。うちのお姉ちゃんが琉星君のファンだけど、『アイツすぐ撮られる!』って2年に1回は激怒してる」
「ああー……」
「暁くんはもう出ないし、リーダーもあんまないよね、熱愛報道」
“リーダー”、“熱愛報道”。
この二つの単語に、一層茜の心臓は強く鼓動する。
だけど、そんな様子を表に出すことなく、ただ茜は変に高まる緊張を抑えることに集中する。
「うん、ここ最近ない。前に出たのが、うちらが中学の時だから……、4~5年前?くらい」
「あ、思い出した。モデルのRisaとだ」
「そうそう。でも、もう別れたよね。それにRisa、他の人と結婚したし」
「ま、老後は一仁君が面倒見てくれるらしいしね」
「昨日のそれ、ほんとヤバい」
その後、よっちゃんとまーの会話はスパノヴァから離れ、別の話題へと移っていった。
話題が移ったことを認識した茜は、やっと変な緊張から解放された。
しかし、代わりに茜の中に生じたのは、ざわざわとした心地良くない感情だった。
その感情の出どころは分かっている。
よっちゃんとまーが言っていた、航太の元カノの話だ。
茜も普通に芸能ニュースを見るので、2人が言っていたRisaのことは知っていた。
人気ファッション誌の専属モデルを経て、今はある高級ブランドのミューズ的な立場として活躍している。
そのライフスタイルも女性から絶大な支持を受け、そのSNSは多くのフォロワーがおり、茜も見たことがある。
そんな人と曲がりなりにも同じ立場に、今自分はいる。
比べてもしょうがないことは分かっている。
だけど、自分で本当にいいのだろうかという不安が付きまとって消えないし、気持ちはやはり、自然と落ち込んでいく。
図らずとも、昨日調べないでおこうと決めた事実を知ってしまったが、よっちゃんとまーが悪いわけではない。
彼女たちは、茜の事情などこれっぽっちも知らないのだから。