僕の家族になってくれてありがとう
「おやすみなさい」

そう結衣が微笑むと、「それ反則!」と翔は顔を真っ赤にする。そして結衣に抱き付いてくる。

翔の温かい腕の中にいる間は、壱成からのLINEを忘れることができた。



翌朝、結衣がスマホの電源をつけると、壱成からのLINEと着信が十件以上もあって悲鳴を上げそうになる。その内容はどれも、復縁要請のものだった。

『男はみんな浮気性なの。浮気の一つや二つ見過ごせないとダメだろ〜?』

『今度はお前の作った飯、うまいって言ってやるよ。だから、やり直そうぜ』

『おい、いつまで無視してんだよ〜。照れてんのか?』

『お前の将来の旦那様だぞ?』

気持ち悪い内容に結衣が震えていると、寝室のドアが開いて「結衣ちゃん、朝ご飯できたよ」とエプロンをつけた翔が言う。結衣はスマホの電源を切り、「今行くね!」と何とか笑った。

壱成のことは、付き合っている時から翔に心配をかけていた。だから、このことを話してまた心配をかけたくない。なので、結衣は無視していようと決めたのだ。
< 5 / 11 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop