僕の家族になってくれてありがとう
しかし、壱成からのLINEは止まることを知らない。結衣が仕事中だろうが、夜中だろうが、関係なく送ってくる。

『お前、いい加減素直になって俺と結婚しろよ!』

『職場に直接行ってもいいのか?』

脅迫まがいのことを送られてきている時もあり、結衣は恐怖を感じていた。しかし、隣で笑ってくれる翔のことを思うと誰に相談すべきかどうかわからない。

そして、壱成からLINEが来るようになって約一ヶ月後、結衣と翔は結婚式場の見学に来ていた。話し合って、式は和装にして披露宴はドレスとタキシードになり、歴史ある縁結びの神社を結衣と翔は見学している。

「素敵な神社だね」

隣で翔が微笑み、結衣も頷く。壱成のLINEさえ来ていなかったら、こんなにも心に重いものを抱えて見学せずに済んだのだ。見学している間も、LINEは届くと思って電源は切ってある。

「では、披露宴の会場をご案内しますね」

スタッフがそう言い、翔が「はい」と言いながら結衣の手をさりげなく取る。指を絡められ、結衣は胸を高鳴らせながら翔を見上げた。翔は幸せそうに結衣を見つめている。
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