地味子な私が猫被りな御曹司と無表情な同級生に溺愛されています。
「まったく…なんで眼鏡で長い髪を結ばないの?眼鏡かけたら可愛い顔がよく見えないし、綺麗な黒髪なのに顔に掛かって邪魔でしょう?」
「ひ、人様にこんな顔を見せるなんて…あり得ないよ!」
「…確かにそうねぇ」
よかった。お母さんも分かって──
「こんな可愛い顔なんて直視できないし、知らない人に見せるなんてもったいないわね。」
全然分かってくれてない…もう諦めよう。お母さんは説得できない……
「…それでどうする?お見合い…行ってみる?」
「…………」
どうしよう…確かに新しい恋はしたいけどすぐにはまだ心の整理が…
「会ってみるだけでも良いのよ。お見合いしたら必ず婚約しないといけないわけじゃないんだから。軽い気持ちで良いのよ。」
強制じゃない…なら…
「お見合い…してみます!よろしくお願いします。」
やってみよう。
「じゃあ、準備しないとね!はい。お見合い相手の男性写真。タイプの顔、選んでね!」
か、顔!?
「え!え…え~と…」
私はとりあえず一通り写真を見た。その感想が…
「…かっこいい人多すぎません?」
全員イケメンさんなんですけど…
私が一人ずつ慎重に見ていると…
あ。この人。すっごくかっこいい。
さらさらしてそうな茶髪にキリッとしたつり目。
こんな人選んだら釣り合わないって笑われるんだろうな~
そう思ってジッと見ていると
「その人が良いのね!」
と、何かを勘違いしたお母さんが写真集を私から取った。
「あら~!いいじゃない!連絡しておくわね!」
「え?」
ちょ、ちょっと待って!私何も言ってない!
そう言おうとしたときにはお母さんは2階にあるお父さんの仕事部屋に行ってしまった。