Don't let me go, Prince!
「あ、ごめんね。びっくりさせちゃったかな?本当に美人だね、お姉さん。今日はラッキーだなあ。」
軽い感じで話しかけてくるけれど、この人の私を見る瞳は笑ってないような気がするのはどうしてかしら?
「ありがとうございます。素敵なお店に来れて私も嬉しいです。」
私をじっと見つめる瞳から目をそらさずに、男性に微笑んで見せる。そんな目で見たって簡単に怖がってなんてあげないんだから。
「あはは、いいね。君のその気が強そうな瞳が堪らない。」
そう言って勝手に私の肩を抱き寄せてくる。ちょっと、勝手に触っていいなんて言ってないわよ?
そう怒って言おうと思ったのだけれど。
「新城、勝手に触れないでください。彼女は私の――――」
そこまで言って弥生さんの言葉が止まる。なに?この後、弥生さんはなんて言おうとしていたの?
「彼女は弥生の……何?」
新城と呼ばれた男性はニヤニヤと楽しそうに弥生さんに問い詰める。弥生さんのためには止めた方がいいのだろうけれど、私も続きが知りたくて黙ってみていた。
「……いえ、何でもありません。ですが新城、これ以上彼女に変なちょっかいを出すのは止めてください。」
まるで独占欲を感じさせるような弥生さんの言葉に頬が熱くなるのを感じる。私と弥生さんはそんな特別な関係ではないけれど……
「はいはい、ちょっと触れようとしただけなのにな。嫉妬深い男は嫌われるぞ?」
「……新城はいつまでもこんな所で油を売っていないで、さっさとキッチンに戻っては?」
弥生さんに冷たくそう言われて、新城さんは呆れた様子で肩を竦める。この二人、よくわかんない関係だわ。