Don't let me go, Prince!


 二人のやり取りは相変わらずね、見ていて本当に楽しいの。
 新城さんは「冗談きついな」と笑っているけれど、弥生さんは冗談なんかじゃなくてきっと本気で言っているのでしょうね。

「なんだか不思議ですね、実花さんを抱いていると心の奥が温かくなるような……そんな気がします。」

「どうだ、患者を相手にしているのとは違うだろう?俺はそれを弥生にも知ってほしかったんだ。」

 弥生さんは実花さんを抱きながらとても優しい表情をしている。結婚した当初では決して見る事の出来なかったようなその顔に、何だか私の心も温かくなるのよ。

「可愛いですね……これが新城の言いそうな《《父親の気分》》というものなのでしょうか?」

 落ち着いた弥生さんの顔を見て新城さんがニヤニヤしているわ、きっとこれが彼の目的だったのでしょうね。

「私も抱かせてもらっていいかしら?」

 ずっと我慢していたけれど、私だって実花さんを抱っこしたかったんですからね。
 弥生さんを急かしてはいけないと思って言えなかったけれど、私だってかなりの子供好きだったりするの。

「もちろん、渚さんも実花を抱いてやってくれよ。」

 私は弥生さんからそっと実花さんを受け取り胸に抱いた。実花さんはまだとても小さくて、柔らかくって……ふにゃふにゃと眠そうな顔を見たら、もの凄く胸がキュンキュンしたの。
 そっと揺らして眠そうな実花さんが眠りにつくまで、私は彼女を抱き続けた。

「渚さんのこの様子なら、いつでも大丈夫だな。後はお前次第だよ……弥生。」

「新城、貴方は本当にお節介ですね。ですが……今回の事は感謝します。」

 弥生さんからお礼の言葉を言われた新城さんは照れ隠しに弥生さんの肩をバシバシと叩いた後、私から実花さんを受け取りそっと彼女をベビーベッドへ。

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