Don't let me go, Prince!
「あら、寝ちゃったの?」
実花さんをベッドへ移動させた新城さんをほほえましい気持ちで見ていると、後ろからひょいと顔を出してきたハナさん。帰って来た彼女の足音が全くしなくて、びっくりしたわ。
「ハナさん、この人が私の最愛の妻の渚です。」
「四ツ谷 渚です。よろしくお願いします。」
弥生さんに紹介されて、慌てて頭を下げる。そんな様子をクスクスと柔らかく笑っているハナさんはやはり魅力的だわ。
「私は新城 ハナ、拓海や弥生君とは大学時代からの友人なの。渚さんと会えたら二人の恥ずかしい過去をたくさん話してあげようと思っていたのよねえ。」
「え?それすごく興味あります!」
そんな面白そうな話があるなんて二人からは聞いてないわよ?是非ともじっくりとハナさんのお話を聞かせていただきたいわ。
「ちょっと待て、ハナ。俺は関係ないだろう?」
「待ってください、ハナさん。学生時代、恥ずかしい事をしていたのは新城だけです。私を巻き込むのは止めてください。」
あら、2人ともハナさんが昔の事を話すのを止めたいみたいね?私に知られるとまずいことでもあるのかしら。
「そう言われてもねえ……ほら、渚さんは凄く聞きたそうよ?」
ハナさんの言葉に私はコクコクと頷く。男性二人よりハナさんの方が強そうな感じがするし、なんだか楽しくなりそう!
結局……ハナさんがあっさりと彼らを言い負かしたので、私は彼女から二人の楽しそうな話をたくさん聞かせてもらう事が出来た。
男性二人は恥ずかしい過去を知られて、2人で仲良く落ち込んでいたけれど。