Don't let me go, Prince!
「うん、とっても仲良し。だからママのお腹には赤ちゃんがいるんだって。」
爽太君のお母さんは妊婦さんらしく、爽太君は「妹だと思う?弟だと思う?」と嬉しそうに話してくれる。
子供を持てば可愛いだけじゃなく、とても大変だとは子持ちの友人から聞いている。だけどやはり私もいつか……という気持ちはある。
ただ、弥生さんの子供の頃のトラウマの問題もあるから、私からは無理は言えなくて。
「お姉ちゃんも赤ちゃん欲しい?」
爽太君の無邪気な微笑みに負けて、私も素直に答える。
「ええ、男の子と女の子両方欲しいわ。欲張りなお姉ちゃんでしょ?」
そう言って笑って見せると、爽太君は「早く赤ちゃんおいでー」とお腹を撫でてくれる。ふふふ、本当に子どもって可愛いのね。
「渚、お母さんのいる場所まで彼を連れて行きましょう。」
いつの間にか私の後ろに立っていた弥生さん。さっきの爽太君との話……彼に聞かれてないわよね?
「ええ、お母さんは……」
「子供さんを探して走っていたので、少し休んでもらっています。彼女は妊娠されていると聞いたので。」
弥生さんの言葉にホッとする。爽太君のお母さんが心配して、無理してないかが心配だったから。
「ママ、大丈夫?」
「大丈夫ですよ。ほら、お母さんが見えてきました。早く元気な顔を見せてあげてください。」
弥生さんに言われて、爽太君は走ってお母さんの元へ。良かった、お母さんに抱き締められて爽太君もとても嬉しそうな顔をしてた。