Don't let me go, Prince!
 結局私は弥生さんの真面目な顔にそれ以上対抗できずに、素直にサイズを教えて買いに出て貰った。

 弥生さんはどんな下着を買ってくるのかしら?挑発的な事を言ってしまったけれど、今まで私はそんなセクシーな下着など付けたことは無い。ごくごく普通のブラとショーツで過ごしてきている。

 ……本当に布面積の少ない物を買ってきたりはしないわよね?

 大丈夫よ、堅物の弥生さんだもの。あの真面目な顔でどんな風に品物をレジへ持って聞くのが見られないのが残念だわ。

 ベッドで脚をブラブラさせながら弥生さんの帰りを待つ。私の頭の中は買い物をする弥生さんを想像するのでいっぱいで、その下着を付けている姿を見せなければいけないことなどすっかり忘れ去っていた。

 ……弥生さんはなかなか帰って来ない。彼が出て行ってもう二時間は経っただろうか?もうお店は閉まっているんじゃないの?

 少しだけ不安な気持ちに襲われる。スマホは自宅に置いたままで、私には今弥生さんと連絡を取る方法が無いのよ。怖くなってベッドで丸くなると同時に鍵の開く音がした。

 静かにドアを開けて入ってくる弥生さんの姿にホッとする。こんな所に私を閉じ込めてるのだからもっと早く帰ってきて欲しい。

「その荷物は、なんなの?」

 弥生さんの右手には大きな紙袋が二つ。まさかとは思うけれどその中身の全てが下着なんてことは無いわよね?

「下着ですよ。渚に似合いそうなものを数着選んできました。」

 そう言って大きな紙袋を二つ渡される。この中身が数着とは思えないんだけど?

「今日私に見せてくれる下着を楽しみにしてますよ?」

 その言葉で私が弥生さんの前で服を脱ぐ約束をしたことを思い出してしまい顔が赤くなる。
 弥生さんからそんな言葉が出るなんて……今度は私が揶揄われる番なの?

 彼を挑発するためとはいえ随分大胆な事を言ってしまったわ。……どうしようかしら。




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