Don't let me go, Prince!
昨日は聞いても答えてくれなかったことを、今日は少しだけ私にも話してくれる。ほら、私たちはちゃんと進み始めてる。
「そう……貴方が落ち込むところは初めて見たわ。私が弥生さんの役に立つのならば、好きなだけ甘えていいのよ?」
「渚らしい慰め方ですね。貴女なら本当に私の全てを受け入れてくれるんじゃないかと思う時もあるんです。ですが……全てを話すのはまだ怖い。」
テーブルの上で固く握られた拳が、彼の気持ちを表しているようで……きっと彼は今もどれだけの事を私に話していいのか迷っているのだろう。
「私はいくらでも待つから、弥生さんが本当に話したい時に話してくれればいいわ。貴方が私に歩み寄ってくれているのはもう分かっているから。」
彼の握られた拳に自分の手を重ねる。彼から一度離れるまで私はずっと焦っていたけれど、今は違う。彼が私と向き合ってくれるのをちゃんと待つ事が出来る。
「待っていてください。いつか必ず渚になら話せるときが来ると思うんです。だから……私の傍から離れないでほしい。」
握られていた彼の拳はゆっくりと開かれて、私の手にゆっくりと弥生さんが指を絡めていく。
今、弥生さんは私を誘っているんだわ_____
私は小さく頷いて……二人ゆっくりと立ち上がり、一度抱きしめ合ってからベッドへと移動する。
ゆっくりとベッドへと押し倒されて、私はベッドの上に投げていたリモコンでそっと照明を消した。
「明るい所で渚の姿を見たかったのですが……」
「……今日は、ダメ。前の時に弥生さんだけ脱いでくれなかったもの。」
彼が私のパジャマのボタンを外し始めると、私は彼のネクタイに手を伸ばしてそれを解いていく。