フォンダンショコラな恋人
「えー? だって持ってきてないもの。それにはしゃいでるって感じしない?」
「私、はしゃいで見えます?」

結衣の浴衣は落ち着いていて大人びていて、はしゃいでいるというよりも大人の色気のある浴衣姿だった。
これならば、蓮根も連れて歩きたくて仕方ないだろうなぁというものだ。

「そんなことないわね。けど誰に見せるわけでもないし」
翠咲は苦笑して返す。

「見たい人、いると思うんですけど」
とても小さな結衣のその声は、翠咲には聞こえない。

「あのですね、私今日は涼真さんの車で来ているんです。本当は私、自分の浴衣を着てきたんです。そうしたら涼真さんも用意してくれていて、今着てるのは涼真さんの用意してくれたものです。なので、もう1着浴衣があるんです。せっかくなので、着ちゃいましょう」

「え?」
「涼真さんに車の鍵借りてきましたし」
流れるようにそんな説明をされる。

「え? そんな、結衣ちゃん!?」
「お祭りです」
結衣の感じの良い交渉力を、こんなところで発揮して欲しくない!!

聞いたことはあったけれど、超絶に感じいいのに、逆らえないのはなんなの!?
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