主人と好きな人。
隣から声が聞こえ首を動かした。


「あ・・・・・。」

「こんにちは!」

「・・・・こんにちは。」


あたしの隣には昨日表札からプレートを取り外そうとしている時に声をかけてきたあの男の子がいた。


「お姉さんいつもと違うね?」

「あ・・・ルージュ変えたから。」

「あーなるほどね。」


男の子はニコニコとして私に声をかけてくる。
そんなにすれ違った事ないのに・・・。
いつもってどういうことだろう。
お隣さんとそこまで頻繁にあってないと思うけど。


「隣の家に住んでたんだね、知らなかったよ。」

「ん?」


男の子がきょとんとした顔をしてあたしを見てくる。


「え?あなた隣の家の子でしょ?」

「えー違うよー(笑)」


笑いながら違うと伝えてくる彼。てっきり隣の家の子だと思ってたのに。


「お姉さんの隣の家は俺のバイト先のマスターの家!」

「そ、そうなんだ・・・・。」

「たまにねー。ご飯食べにおいでって言われてるんだー。」

「へぇ・・・・。」


昨日始めて話した男の子の身の上話を聞いてしまう。
そういえば健次よりこの子との方が話しているかもしれない。


「お姉さんいくつなの?」

「え、28・・・。」

「おおー6個上かー。そんな離れてないんだね。」

「22歳なの?」

「そうだよ!大学生。」


大学生と聞き頭がふらっとした。
5個も年下の男の子とあたしはなにを話してるんだろう。


「実家はどこ?」

「何!お姉さん俺の事気になってきちゃった?」

「そんな事ないよ?!?!」


ふと口にしてしまった言葉を彼に拾われ気が動転してきた。
男の子が笑うたび唇の左側から八重歯が顔を出していた。
綺麗な顔立ちなのに、八重歯が見えるたびに可愛い顔に見える。


「ねぇねぇゆかさん。」

「はい?」

「LINE交換しない?俺今友達募集してるんだ!」

「え・・・ライン??」


6個も年下の可愛い男の子とラインの交換ってどうなんだろう。
何を話すのかもわらからないし、そもそもこの子が6個年下かどうかも怪しい。
スマホはバックの中に入っているけど、正解がどれかわからなかった。


「えーダメなのー?」


男の子が拗ねたような顔をする。
その時私のバックの中から着信音がなった。
バックからスマホを取り出し画面を見ると、毎日会うパートナーからの着信だった。
朝、あたしのオムレツを食べなかったあの人からの電話。

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