【短】お前が誰のものか分からせてやるよ。


「そういえば、月乃は今のマンションに来たことなかったよな。また昔みたいに、徹夜でゲームでもやるか?」

「遠慮しておく。ていうか、変に気を遣わなくていいよ。せっかく予定が空いてるなら、可愛い女の子でも呼んだら?」


「月乃を“可愛い女の子”として扱って良いなら、その方がこっちも都合が良いけど」


グラスに添えていた私の手の甲に、瑠衣の骨張った大きな手が触れて思わずドキッとする。

……それは、誘ってると受け取っていいの?


瑠衣は一度も目を逸らさずに、まっすぐ私だけを見て返事を待っていた。

彼は本気で言っているんだ。いつもと正反対の真剣な表情に、鼓動が速くなった。


でも、流されたらだめ。今はあのときみたいに酔ってないから、きちんと断る。

「……冗談はやめて。私たちはそういう関係じゃないでしょ」


平然を装ってそっと手を離すと、瑠衣は悲しそうに目を伏せた。

「やっぱり、まだ怒ってるんだな」



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