【短】お前が誰のものか分からせてやるよ。
ああ、酔った勢いでついに一線を越えてしまった……
私の顔から血の気が引き、目の前が真っ暗になった。
初めてを奪われたことが嫌だったわけじゃなくて、瑠衣と『親友』で居られなくなることに絶望したんだ。
瑠衣にとって、私が『親友』からただのセフレの一人になるのが、怖くて受け入れられなかった。
たくさんいる女性のうちの一人ではなく、一番近い存在でありたかったのに。
一夜の過ちということで、なかったことになんて出来そうにない。だから、私は自分勝手なのを承知で逃げることにした。
瑠衣が目覚める前に、なんとかベッドを抜け出す。起き上がるときに腰がズキズキと痛むのを耐えながら、床に散らばった服を急いで着て、こっそりと家を出た。
混乱している頭をフル回転させて考えた結果、瑠衣と距離を置いて、ほとぼりが冷めるのを待つしかないと思ったんだ。
翌日、瑠衣から何度も着信があったけど出る勇気がなかった。