【短】お前が誰のものか分からせてやるよ。
あれだけ自由人で女好きで、割り切った付き合いのできる女性とだけ遊んでいた瑠衣が、執着心を露わにして熱心に口説いてくるなんて、なんというかキャラ崩壊している感が否めない。
それでも、ギャップにときめいてますます好きになってしまうのが悔しい。
「学生の頃は、月乃と『親友』の関係でいるのが心地よくて、手放したくなかったからあえて言わなかったが、俺なりにずっと月乃のことは大切に想っていたんだ」
「そんな素振り、全然見せなかったよね」
「意地になって本音を隠してただけだ。
……なぁ、教えてくれよ。どうしたら俺にとって月乃だけが特別なんだと信じてくれる?俺ができることは、なんだってしてみせるよ」
真正面から真摯に追い求められたら、素直に答えるしかない。
もう言い訳して逃げたりしない。
これからは、自分の気持ちに正直になって何度でも瑠衣に好きって伝えるんだ。
「……二人でいる時はこうして抱き締めて、目を見て愛してるって言って。それだけで充分だよ」
瑠衣の唇にそっと唇を重ねると、双眸が驚きで揺れて、私を抱き締める腕に力が籠る。
“愛してる”と耳元で囁いた瑠衣の声は、それまで聴いたどんな口説き文句より一番心に響いた。
それから、瑠衣はコーヒーとトーストでお腹を満たして仕事に出かけていった。
合鍵を預けられた私は、まず瑠衣のベッドのシーツとお互いの服を洗濯してから適当に時間を潰し、スーパーで買ってきた材料でささやかな手料理を作って彼の帰りを待つ。
帰ってきた瑠衣に赤い薔薇の花束を贈られ、俺と結婚してほしいと言われる。
私はプロポーズを受け入れ、これから訪れる幸せな夜に思いを募らせながら、彼に思いきり抱きついた。
【END】


