(仮)愛人契約はじめました



「面白いですわ、此処からの眺め」

 シナモンがきいた熱々のアップルパイを慣れない手つきで食べながら月子は下の道を歩く人々を眺めていた。

 月子が面白がるだろうと思って、窓に向いたカウンター席にしたのだ。

 ご飯は月子は家で食べるだろうし。

 自分はもしかしたら、蓮太郎が早く来るかもしれないので、アップルパイと飲み物だけにしておいたのだ。

「で、道馬さんがなんだって?」

「話、聞いてらしたんですの?」
と文句を言ったあと、月子はアップルパイを食べるのをやめた。

「お姉様に言いたいことがたくさんあったのですけれど。
 相変わらず、お姉様がマイペースなので気が抜けましたわ」

 お姉様、と月子は唯由に向き直る。
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