(仮)愛人契約はじめました
 


 ようやく自転車男の助けがなくとも、唯由のアパートにたどり着けるようになったぞっ。

 思ったより早く仕事が終わり、ウキウキしながら蓮太郎は唯由のアパートの駐車場にとめようとした。

 だが、先に車がとまっている。

 何処のどいつが俺の指定席にっ、と(いきどお)ったが、その外車は丸っこく、カラーリングが明らかに女性好みのものだったので、なんとか(こら)えた。

 誰なんだ?

 友だちか?

 俺が無理やり捻り出してきた貴重な蓮形寺との時間がっ。

 人がいたのでは、ラブラブできないじゃないかっ。

 ラブラブする勇気もない癖に蓮太郎は思う。

 チャイムを鳴らすと、エプロンをつけ、髪をひとつにまとめた女が出てきた。

「お帰りなさい」
と言う。
< 330 / 445 >

この作品をシェア

pagetop