(仮)愛人契約はじめました
「ところで、雪村って、もしかして、あの雪村さん?」

 雪村真伸のひ孫だと言うと、……ああ、と早月は言う。

 その、ああ、があまりいい感じではなかったので、なにかまずかったかな、と蓮太郎は思った。

 家同士で揉めているということはないと思う。

 月子と自分の見合い話が何度も出るくらいだから。

 早月は、キッチンに立つ唯由が月子を、
「その調子、その調子」
と褒めているのを見ながら言ってきた。

「いや、雪村さんちじゃ、唯由も私みたいに苦労するのかなと思って。
 お金があれば、人生楽しいってもんじゃないからね」

 私には蓮形寺の暮らしは窮屈だった、と早月は言う。
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