辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する

「サリーシャ?」

 返事はない。

「サリーシャ!」

 少し乱暴に植栽を踏み荒しながら向かった先の芝生の上にも、サリーシャはいなかった。


***
 

 セシリオは混乱しきっていた。

 サリーシャがいない。思い当たる場所は全て探した。
 広い屋敷とは言え、ここは半分は軍と政務の施設を兼ねている。多くの人目があり、誰にも見つからずに隠れられるような場所はそんなにはない。クラーラとノーラも手分けして探したが、今のところ見つからない。二人とも全く行き先に心当たりはないというし、屋敷中の侍女にそれとなく確認したが、誰一人として分かる者はいなかった。
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