辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する
屋敷内を当てもなくうろうろしていると、左側の執務棟から険しい表情でモーリスが近づいてきた。
「こっちにも、いないな。まわりにもそれとなく聞いたが、誰も見てないと。それとなく理由をつけてマリアンネ嬢とブラウナー侯爵の部屋も確認してきた。部屋に人を隠してる様子も、特におかしな様子もないな」
「では、何処にいる?」
「これだけ捜していないとなると、屋敷の外に出たのでは?」
セシリオはそれを聞いてカッとした。
「屋敷の中で人拐いでも出たと言うのか!」
「そんなにカッカするな。今、城の門番にそれらしき奴らを見ていないか聞きに行かせてる」
モーリスはそこまで言うと、セシリオを見つめた。
「それに、お嬢様が自分から出ていった可能性だってある。セシリオ、お前は本当に何も心当たりはないのか?」
眉を寄せたモーリスに問いかけられ、セシリオは片手を額に当てた。