政略懐妊~赤ちゃんを宿す、エリート御曹司の甘く淫らな愛し方~
「そんなっ……! どうか顔を上げてください」

「そうだよ、じいちゃん。もとはと言えば、俺がもっと早くに父さんと母さんも説得するべきだったんだ。だからじいちゃんはなにも悪くない」

 俺たちに言われ、祖父はゆっくりと顔を上げた。

「いや、私にも責任がある。だからこそ今日は同席させてもらったんだ。あいつらにも、ふたりの気持ちが伝わるよう微力ながら力になろう」

 祖父が味方でこれほど心強いものはない。千波の同じ気持ちのようで、「ありがとうございます」とお礼を言った。

「あいつらなら客間におる。さぁ、行こう」

 どうやら父さんと母さんは俺たちの出迎えを拒んだようだ。そんなふたりに千波を受け入れてもらえるか不安がよぎったが、俺が弱気では余計に千波に不安を与えるだけ。

 努めて平静を装い、千波に「行こう」と声をかけた。

「はい」

 彼女に寄り添いながら客間に向かうと、両親は俺たちを厳しい表情で出迎えた。

「ご無沙汰しております」

 丁寧に挨拶する千波に対し、ふたりは「えぇ」などと素っ気ない。
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