政略懐妊~赤ちゃんを宿す、エリート御曹司の甘く淫らな愛し方~
 怒りを覚えるが必死にこらえる。ここで感情の赴くまま両親に対峙しては、元もこうもない。

 両親の向かいに千波と腰を下ろし、祖父は上座に座った。すぐに家政婦が茶と菓子をそれぞれの前に置き、客間を出る。さっそく俺から切り出した。

「今日ふたりに会いに来たのは、千波との結婚を認めてもらうためだ。それと、神屋敷と間違った行動を起こさないでほしいと言いに来た」

 神屋敷に名前を出した途端、父は片眉を上げた。

「間違った行動とはどういうことだ? 私も母さんも、お前の幸せを願っているだけだぞ」

「父さんと母さんが描く幸せと、俺の幸せには大きなズレがあります。ふたりは本当に俺が神屋敷と結婚することで幸せになれると思っているんですか?」

 厳しい口調で責め立てた俺に対し、母が割って入ってきた。

「えぇ、少なくとも千波さんと結婚するより幸せになれると思っているわ。紗季さんは航を心から愛してくださっているわ。それに家柄もよく、将来あなたの助けになるでしょう。彼女以上に航に相応しいお相手はいないもの」

 確信を得た目で話す母に深いため息が漏れた。

「母さんは人を見る目がないですね」

「なんですって?」

「航! 母さんになんてことを言うんだ!」

 一触即発な空気が流れる中、千波が声を上げた。
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