政略懐妊~赤ちゃんを宿す、エリート御曹司の甘く淫らな愛し方~
「嘘……」

 見間違い? ううん、そんなわけない。ずいぶんと痩せちゃったけど見間違えるはずない。

「お父さん……っ!」

 ドレスを着ていることも忘れて走り出す。

 私に気づいたモーニング姿の父も、私に向かって駆け寄る。そんな父に私は勢いそのままに抱きついた。

「お父さん、お父さん……!」

 ずっと会いたくて心配でたまらなかった父がいる。夢のようで怖くて、これは現実なのだと信じたくて父のぬくもりを全身で感じる。

「すまなかった、千波。本当に悪かった……っ」

 謝罪の言葉を繰り返す父の声が震えていて泣いているのがわかると、たまらず私も涙が零れ落ちた。

「ううん、こうやって帰って来てくれただけで十分だよ。お願いだから、なにがあっても二度と私と瑠璃の前からいなくならないで」

「あぁ、約束する」

 しばし抱き合った後、私たちはゆっくりと離れる。

「お父さん、今までどこでなにをしていたの?」

 メイクが崩れないように涙を拭いながら父に気になっていることを聞く。すると父は言いにくそうに話し出した。
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