政略懐妊~赤ちゃんを宿す、エリート御曹司の甘く淫らな愛し方~
「後悔、か。それを千波は俺がすると思っているんだ」

 悲しげに言うと、航君は路肩に車を停車させた。切なそうに私を眺める彼と目が合い、心が大きく揺れ動く。

 後悔しないかと心配になるのは当然だと思う。何度も言っているけど、どう考えても私にばかりメリットがある話だもの。

「そう思うのは普通ではないでしょうか? ご両親だって航君には、好きな人と結婚してほしいと願っていました。だから私との結婚に反対されているんです」

「俺はそれでもいいって言ったよな?」

「言いましたけど……。ご両親は迷信かもしれない言い伝え通りに結婚しなくてもいいって思っているんですよね? だったら航君が一族の未来を背負うことはないと思うんです」

 私はてっきり家族みんなが、航君に結婚しなさいと言っているものだとばかり思っていた。でも私との結婚を望んでいるのはおじいさんだけ。それなら無理に私と結婚しなくたっていい。

「もし航君が私との結婚を考え直すと決めたなら、私はそれに従います。ただ、その……払っていただいた瑠璃の医療費や借金については、少しずつの返済になってしまいますが、必ず全部お支払いします」

 想像もできないほどの大きな額かもしれないけど、航君が私と結婚しないならこの契約は成り立たない。

 私は彼の子供を産むことができない以上、私だけお金を受け取るわけにはいかないもの。
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