政略懐妊~赤ちゃんを宿す、エリート御曹司の甘く淫らな愛し方~
 次の日はアルバイト先の土産物屋で朝から十六時までの勤務。昼休みに伯父から瑠璃の面会ができるようになったと連絡をもらったので、仕事終わりに真っ直ぐに病院へ向かった。

 瑠璃は私が病室に入るといつもの笑顔を見せてくれた。

「心配かけてごめんね」

 弱々しい声で言われた言葉に涙が込み上がる。

 補助人工心臓を装着した姿を初めて見た時は、瑠璃の命の灯はいつ消えてもおかしくない。もしかしたら二度と会えないかもしれないと本気で思った。

 そんな瑠璃の声を聞けた。また私に笑顔を向けてくれている。こんな当たり前のことで瑠璃が生きているんだと実感し、溢れた涙を拭って瑠璃のベッドの脇にある椅子に腰を下ろした。

「本当だよ、連絡をもらった時は私の心臓が止まりそうだったんだからね」

 冗談交じりに言えば、瑠璃はまた笑顔で「それは困るから止めてよ」と言う。

 いつものやり取りに幸せな気持ちで埋め尽くされていく。

「そうだ、伯父さんから聞いたよ。お姉ちゃんの結婚のこと。びっくりしたけど、相手はお姉ちゃんのことを心から大切にしてくれる人だって聞いて安心したよ」

「伯父さんがそう言っていたの?」

「うん」

 でもたしかに挨拶に来てくれた航君の言動から見たら、伯父さんがそう勘違いしても仕方がないのかもしれない。
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