政略懐妊~赤ちゃんを宿す、エリート御曹司の甘く淫らな愛し方~
「ずっとお姉ちゃんには幸せになってほしいと思っていたから、本当に嬉しい。……それに私の移植手術のことも聞いたよ。なんてお礼を言えばいいか……っ」

 言葉を詰まらせた瑠璃の瞳からは大粒の涙が零れ落ちた。

「ごめっ……! 泣いたら心臓に負担がかかるってわかってはいるんだけど嬉しくて」

 涙を拭い、瑠璃は笑顔で続ける。

「昔から私のせいで家族みんなに迷惑をかけていたことがすごく嫌だったの。でもね、なにより一番嫌だったのは、普通の生活ができないことだった。だけど心臓を移植したら、私もお姉ちゃんみたいに学校に行ってアルバイトをして、友達といっぱい遊んでそれに恋だってできるでしょ? ずっと叶えたかった夢が叶うんだと思ったら嬉しくてたまらないの」

「瑠璃……」

 初めて聞いた瑠璃の本音に、私まで涙が溢れ出した。

 そうだよね、瑠璃が一番つらくて苦しかったよね。当たり前の日常を過ごすことができないことが、どれほどせつないか……。

「ごめんね、瑠璃の気持ちに気づいてあげられなくて」

 ギュッと手を握って謝っても、瑠璃は首を左右に振った。

「ありがとう、お姉ちゃん。私の夢を叶えてくれて。……私、向こうで頑張ってくるから、元気になったら一番にお姉ちゃんと旦那さんにお礼を言いにいくからね」

「うん、その日を待ってるよ。一緒についていけなくてごめんね」
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