政略懐妊~赤ちゃんを宿す、エリート御曹司の甘く淫らな愛し方~
「伯母さん、この度は本当に瑠璃に付き添っていただけて感謝の思いしかありません。どうか瑠璃のことをよろしくお願いします」

「えぇ、もちろんよ。瑠璃ちゃんのことは私が責任を持って預からせてもらうね」

「お願いします」

 そんなやり取りを終えると、ロビー内には瑠璃の乗る便の搭乗受付が始まったというアナウンスが流れた。

「瑠璃ちゃん、残念だけどそろそろ行きましょうか」

「はい。……会いたかったな、航さんに」

 名残惜しそうにボソッと呟いた瑠璃。

 今日、本当は航君も一緒に瑠璃の見送りに来てくれる予定だった。だけど会社から急な呼び出しが入ったと連絡があり、仕事を終わらせてから来るって言っていたけれど……。

 周囲を見回すも、航君らしき人影は見当たらなかった。

 瑠璃は一般の乗客より先に搭乗しなければいけないから、もう行かなくちゃいけない。

「でもお姉ちゃんの旦那さんになるってことは、私のお義兄さんになるってことでしょ? だったらこれからいつでも会えるもんね。……会うのは元気になったご褒美にとっておくね」

「……うん、そうだね」

 瑠璃が前向きな気持ちになってくれてすごく嬉しい。……うん、今の瑠璃なら絶対に大丈夫だ。必ずまたこの愛らしい笑顔を私に見せてくれる。

「それじゃお姉ちゃん、行ってきます」

「うん、いってらっしゃい」

 笑顔で大きく手を振って瑠璃と伯母を見送る。

 瑠璃は搭乗ゲートを抜けてからも、私が見えなくなるまで何度もこっちを見て、笑顔で手を振り続けた。それに私も笑顔で応え続ける。
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