政略懐妊~赤ちゃんを宿す、エリート御曹司の甘く淫らな愛し方~
 空港を出て私たちは航君の運転する車で、彼のマンションへ向かうとばかり思っていたけど、窓の外に流れる景色は都心部にある国際的にも有名なホテルが立ち並ぶエリア。
どうもマンションへ向かっているようには思えない。

「あの、航君。今からどこに行くんですか?」

「せっかくだし、夕食は外で取ろうと思ってレストランを予約しておいたんだ」

「そうだったんですね。でも、あの……引っ越し業者が夕方に荷物を運んできてくれる予定なんです」

 それなのに家にいないのは、まずいのでは?

「それなら大丈夫だ。コンシェルジュに千波の荷物を受け取ってもらうよう頼んでおいたから」

 そっか、航君が住むマンションにはコンシェルジュがいるんだ。あんなすごい家が実家なくらいだもの、住むならセキュリティー面が万全なところで、コンシェルジュが常駐しているのは必須なのかもしれない。

「今さらだけど千波、苦手な食べ物はある?」

「いいえ、とくにないです」

「それならよかった」

 ちょうど目的地に到着したようで車は停車した。先に降りた航君に助手席のドアを開けてもらって外に出る。

「ここって……」

 目の前に立っているのは、よくテレビや雑誌にも取り上げられ、おそらく日本人なら誰だって知っているはずの一流ホテル。

 父がよくここのホテルは部屋もおもてなしも料理も、世界一だと言っていた。そんなところで食事だなんて……。
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