政略懐妊~赤ちゃんを宿す、エリート御曹司の甘く淫らな愛し方~
 一流ホテルに入っているレストランだもの、あまりにカジュアルすぎる服装ではいけないよね? 前もって聞いていたら、もっといい格好で来たのに。

「行こう」

 ホテルスタッフに車のキーを預けた航君は、私の腰に手を回して歩き出した。今日の彼の服装は仕事に行っていたからスーツで、なんら問題ない。だけど私は違う。ゆったりとしたオフホワイトのシャツにロングスカートだ。さすがにこの服ではホテルの人にも止められてしまうのでは?

「航君、あの……っ!」

「千波、こっち」

 この近くに服屋はないか聞こうとした私の声を遮り、航君はロビーを抜けるとなぜかエレベーターに乗って地下へと向かう。

 降りた先はホテルのアーケード。ネイルサロンや美容室、アクセサリーや服、バッグなど様々な店が並んでいた。

 すごい、ホテルの地下にショッピングモールのように多くの店があるなんて。それもどこも聞いたことがある有名なブランドの店ばかり。

 物珍しさにキョロキョロ見回していると、航君は美容室の前で足を止めた。

「行っておいで」

「えっ? 行っておいでって……?」

 わけが分からず頭にハテナマークをいっぱい浮かべる中、私たちに気づいた店員が店から出てきた。

「庵野様ですね、お待ちしておりました。どうぞこちらへ」
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