政略懐妊~赤ちゃんを宿す、エリート御曹司の甘く淫らな愛し方~
「ではヘアメイクに入らせていただきますね」

「お願いします」

 終わったら真っ先に航君にお礼を言わないと。

 それからプロの手によってメイクが施され、髪もドレスに合うように大人っぽい雰囲気にアレンジしてくれた。

 これが本当に私? まるで別人だ。

「すごい」

 鏡に映る自分を見て思わず漏れた声に、店員にクスリと笑われてしまった。

「早く庵野様にもお見せしましょう。きっと奥様があまりにきれいでびっくりされますよ」

 そんなことは絶対にないと思うけど、でも早く航君にお礼を言いたい。

 店内の奥には待合室な場所があり、そこで航君は珈琲を飲みながらビジネス雑誌を読んでいた。

 よほど集中しているのか、私たちにいまだに気づいていない様子。

「庵野様、お待たせいたしました」

 店員の声に初めて気づいたようで雑誌を閉じた航君が顔を上げた。そして私を見ると、少しだけ目を見開く。

なにも言わずにジッと見つめられること数秒。居たたまれなくて声を上げた。

「あの、航君。このドレス、ありがとうございました。それにヘアメイクも」

 おかげで夢のような経験をすることができた。だって自分では、メイクも髪の毛もこんなに上手にできないもの。

「いや、食事に誘ったのは俺だから。……すごく似合っている」
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