政略懐妊~赤ちゃんを宿す、エリート御曹司の甘く淫らな愛し方~
 少しだけ目線を逸らして付け足し言われた一言に、胸がきゅんとなる。

「あ、ありがとう、ございます」

たどたどしくなってしまい恥ずかしい。

 私もまともに航君の顔が見られなくなる。するとそばにいた店員は「仲がよろしいんですね」なんて言うものだから、ますます彼を見ることができなくなってしまった。

 微笑ましい顔の店員に見送られ、私たちは最上階にあるフレンチレストランへ向かった。

 通されたのは奥にある個室。大きな一枚のガラス窓からは都内の夜景が一望できて、その美しさにくぎ付けになる。

「どうぞ」

「ありがとうございます」

 ホールスタッフに椅子を引いてもらい、航君と向かい合うかたちで座る。するとまずはワインがグラスに注がれ、そして前菜が運ばれてきた。

 ここまでの高級店ではないけれど、コース料理はこれまでに何度も食べたことがある。テーブルマナーもそれなりに自信はあるものの、食事する相手が家族ではなく航君ってだけで、こんなにも緊張するなんて。

 だけどこれまで毎日のように連絡を取り合っていたから自然と話は弾み、最後にデザートが運ばれてきた頃には、すっかり緊張は解けていた。

「デザートのショートケーキと珈琲でございます」

 説明を聞きながらテーブルに置かれたケーキに目を向ける。

「あれ? これは……」

 真っ赤な苺の上に載っていたのは、ダイヤモンドが光り輝く指輪だった。
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