政略懐妊~赤ちゃんを宿す、エリート御曹司の甘く淫らな愛し方~
だけど航君は笑ったりせず、どこか安心した様子で立ち上がった。ドア付近に控えていたスタッフは、航君に声をかけられると苺の上のある指輪をそっと取り、綺麗に生クリームなどを拭き取ってくれた。
それを受け取ると航君はそっと私の左手薬指にはめる。
「よかった、サイズが合っていて」
優しく指輪を撫でる航君に、顔が熱くなる。
プロポーズが成功したことを見届けたスタッフは、新しいケーキと交換して「失礼します」と静かに言って部屋から出て行った。
再びふたりっきりになると、航君は手を握ったまま私の様子を窺いながら口を開いた。
「それで千波、今夜はホテルに泊まろうと思って部屋をとったんだけど大丈夫か?」
そうだ、明日は私の誕生日。日付が変わる瞬間……つまり今夜、私は彼と身体を重ねなければならない。
それが結婚の条件だったのに、直前になってこうして〝大丈夫か?〟と聞いてくれる航君は、やっぱり優しい人だと思う。
「はい、大丈夫です」
航君は約束通り借金の返済も、瑠璃の医療費も担ってくれた。彼には返しきれない恩がある。なにより航君とそういうことをすることに抵抗はない。
それはきっとまだ出会って間もないけれど、航君がどういう人なのか知ることができ、嫌いじゃないからだ。
むしろ好感を抱いている。そんな相手と結ばれることに嫌悪感を抱くはずがない。
それを受け取ると航君はそっと私の左手薬指にはめる。
「よかった、サイズが合っていて」
優しく指輪を撫でる航君に、顔が熱くなる。
プロポーズが成功したことを見届けたスタッフは、新しいケーキと交換して「失礼します」と静かに言って部屋から出て行った。
再びふたりっきりになると、航君は手を握ったまま私の様子を窺いながら口を開いた。
「それで千波、今夜はホテルに泊まろうと思って部屋をとったんだけど大丈夫か?」
そうだ、明日は私の誕生日。日付が変わる瞬間……つまり今夜、私は彼と身体を重ねなければならない。
それが結婚の条件だったのに、直前になってこうして〝大丈夫か?〟と聞いてくれる航君は、やっぱり優しい人だと思う。
「はい、大丈夫です」
航君は約束通り借金の返済も、瑠璃の医療費も担ってくれた。彼には返しきれない恩がある。なにより航君とそういうことをすることに抵抗はない。
それはきっとまだ出会って間もないけれど、航君がどういう人なのか知ることができ、嫌いじゃないからだ。
むしろ好感を抱いている。そんな相手と結ばれることに嫌悪感を抱くはずがない。