私は天使に侵されている
「は?ら、来夢?」
健悟に隠れて来夢が見えない美麗。
なので、どんな顔をしてるかわからない。
が、健悟がビクッと震えたのがわかった。

「からかってるって何?
僕、本気なんだけど?
それにからかう時間が勿体ない。
そんなことする位なら、話しかけたりしない。
僕を健悟と一緒にしないで!」
声のトーンは、先程話しかけられたのと変わらない。
でも雰囲気が重くなったような気がした。

「あ…わ、わりぃ…」
そして謝る健悟に近寄り、耳打ちした来夢。
「そこ、退いて…僕の恋路を邪魔しないで?」
健悟は、更にズシッと圧迫されたような感覚になる。
「━━━━!!!」
無言で後退り、その場を後にした健悟。

「ねぇ、美麗!
僕、本気だよ!
僕の恋人になって!」
健悟がいなくなり、再び人懐っこい笑みを浮かべ美麗に向き直った来夢。

「ご、ごめんなさい。
あまりにも突然過ぎて……」
「えー!嫌だ!!美麗と付き合いたい!」
「でも……」
「………待てない!
僕、待つなんてできない!」
「だからって、夢野さんがどんな方かもわからないのに……夢野さんだって、私のこと知らないだろうし……」
「だから、付き合いたいの!
美麗が恋人になってくれるまで、ここから放れないよ!」
「えー!?そんな……」
ここまでくれば、ただのワガママ…てか、駄々っ子だし………
と、退きだした美麗。

「もう、やめろよ!来夢!
ほんとに困ってるだろ?」
「来夢!こっちで早く飲もうよー!」
健悟と、令子(来夢の女友達)が呼びにきた。

「うん…わかった。
美麗、明日もここにいる?」
「え?あ、はい」
「じゃあ、明日も来る!」
そう言うと、やっと健悟達の元に向かったのだった。

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