挑発のライン・アイドル育成計画とは(恋する瞑王シリーズ3)
<貞操の危機事件・その5>

<ちゅっ>ではなく、
かなりの<ぶちゅゅーー>で
あった。

エリカは突然のアクシデントで、
ルビーの瞳が・・
瞳孔が開いているように見えたが、

「ん・・ん」

息ができなくて苦しいのか、
神蔵の腕の中で、もがいた。

神蔵は唇を離すと、
エリカを思いっきり抱きしめた。

「好きだ!好きだ!好きだ!」
青春(あおはる)映画のように
連呼していた。

鬼はその様子を、
衝撃を受けたように、見つめていた。

「くそぉ・・なんだよぉ・・
見せつけやがって、
おまえら、できてたのかよ」

最後は泣きが入っていたが、
暗闇に消えた気配がわかった。

「・・苦しい・・」
エリカが小声でささやいた。

神蔵はその声で、我に返った。
瞑王を抱きしめていた腕が
(ゆる)んだ。

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