思っていたのと 違うのですか‼︎

3-1


「その節はお騒がせして申し訳ありませんでした」

智さんを迎えに来た葉山さんに頭を下げる。

「智美は何も悪くない」

智さんは言いますが、大人として礼儀は必要だと思います。

「いえ、こちらこそ社の問題に巻き込んでしまって申し訳ありませんでした」

2人で頭を下げていると、智さんが私の頭を優しく叩く。

「気が済んだか?」

その言い方良くないと思います。

智さんを見上げれば、苦笑いしていた。

「今日は早く帰ってくる。どこか食べに行くか?」

どこか とは?

首を傾げれば、葉山さんが小さく笑う声が聞こえる。

「美味しいと評判のお店をご予約しておきますので、楽しみにしていて下さい」

「はい」と元気よく返事をすれば、不服そうに「行くぞ」と智さんが葉山を促す。

いつもと逆ですね。

すれ違い様に、額にキスをする

きゃー!人前です!なにをするんですか!

智さんを睨んだ。

「夫婦なんだ。何がいけない」

いけないとかじゃなくて、人前で!

葉山さんを指せば、「これは気にしなくていい」と髪に口づけをする。

「いえ、気にして下さい」と咳払いをした。

「甘い智を見ると、吐き気がする」

なかなか言いますな。

「なら、見なければいい」

今度は葉山さんに見せつけるように私を抱き寄せた。

< 96 / 108 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop